竜とそばかすの姫
映画も良いものですね。
ネタバレには配慮していますが、触れてしまう可能性はあります。ご注意ください。
竜とそばかすの姫
きっかけ
今回は珍しく監督をきっかけとしています。細田守監督の作品には新しさと青春がうまく表現されていることが多いのでそこに期待しての視聴だと思います。
良かったところ
世界観と表現、その書き分け
現実世界と仮想世界の書き分けが素晴らしかったです。本作ではこの違いがすべての要素に関わってきます。
内向的な性格な主人公である鈴が現実世界では見せる機会のない努力・趣味を仮想世界で広く知られることになる事は、仮想世界を可能性の世界として描いていたように思います。
仮想世界「U」は人の可能性を引き出すという設定も良かったです。現実は小さなことの積み重ねで決して影響力が大きくはないけど、確かに人の内面に蓄積していてそれが目にわかりやすい形で仮想世界に現れるという表現がしっかりしていたと感じます。
勇気を振り絞る
現実世界では内向的だけど仮想世界であることをきっかけにして新しい普段とは異なる自分として一歩踏み出していく、SNS世代である我々には馴染み深いものだと感じました。とても共感できるし、それによって世界が広がりを見せる感覚が描写されているのは素晴らしかった。
逆に表面を取り繕ったアバターを脱ぎ捨てることは、これもまた勇気のいる行動であることがわかります。
勇気を振り絞る描写が共感性が高く、良く伝わってきました。
表情
登場人物の感情がダイレクトに伝わってくるのは表情の作画も良いからなんだろうと思いました。
背景の美しさ
一昔前の仮想世界とは違ったなと感じました。ただカラフルなだけでなく、古城も自然もある点は時代が変わったなと思いました。
アバターについても人の内面を反映する設定が絡むことにより、ただ選択肢から選んだだけの純粋なアバターより更にユニークなアバターに進化していて、新しい時代が描けていると感じました。
お勧めできる人
完成度の高い作品全般に言えることですが、どんな人が見ても楽しめる要素があります。しかし、強いて言えば、ご都合主義を望まない人は抵抗があるかもしれません。
美しい・新しい・勇気・青春・仮想世界、このあたりのワードにピンと来たらヒット間違いなしです。